ポルトガル料理と言えばバカリャウなのはなぜ?その背景に迫る!

ポルトガル料理と言えばバカリャウなのはなぜ?その背景に迫る!

干し鱈(以下バカリャウ)はポルトガル料理という枠を超えて、ポルトガルという国を代表する特徴ともいえるグルメです。

塩漬けにして干されたタラを、水で戻したものを調理するのですが、そのバカリャウを使った料理は、365通り以上ポルトガルに存在するとも言われ、ポルトガル人の間で最も人気のある食材の 1 つです。今回はそのバカリャウについて詳しく見ていきましょう。

大航海時代の保存食だったバカリャウ

ポルトガルにおいてバカリャウが食べられるようになったのは何世紀も前のことです。ポルトガルにおけるタラ漁とタラの塩漬けに関する最初の記録は、14世紀にまでさかのぼることができます。

大航海時代に長い航海に耐えることのできる食材として、タラが理想的な魚であることを発見したのが、ポルトガルのバカリャウ文化の起源と言われています。

タラ漁の先駆者は北欧のバイキングで、彼らは塩漬けするための塩がなくても、屋外で乾燥させ、ボートに積み込んで運搬していました。

中世になると、塩田によって塩を大量に生産していたポルトガル人は、その塩を使って北欧諸国と交渉し、鱈を輸入していました

タラを求めてニューファンドランドまで

本格的なタラ漁はカナダ東岸のニューファンドランドとグリーンランドで始まりました。大型の帆船での漁が主流でしたが、技術が発達するとトロール船で漁が行われるようになりました。

ポルトガルの伝統的な魚の処理法だった乾燥と塩漬けは、化学物質を使うことなく、魚の栄養素をそのまま維持することができます。この処理法がタラに応用され、バカリャウが持つ独特の香りや、風味、食感が活かされることになりました

今ではポルトガルで当たり前のように使われている「ノルウェー産のタラ」というブランドは、古く大航海時代には登場していたのです。

国を挙げてタラ漁へ

1506年には、当時の政府がタラの輸入に目を付け、ドウロ地方とミーニョ地方の沿岸に入港するタラに課税しました。しかし、ポルトガル船によるタラ漁は不定期だったため、フィリップ王朝の時代にはこの税は廃止されました。

それまで船乗りの保存食だった塩漬けタラがポルトガル国内で本格的に消費され始めたのは 17世紀の頃でした。そして1835年にポルトガルはついに国を挙げてタラの漁に行くために、リスボンの漁師を組織し、ニューファンドランドへでの漁を大々的に再開したのでした。

ポルトガル国内では、何世紀もの間、タラは一流の食材とは見なされていませんでした。1790年代になると、リスボンにおいて、バカリャウが一気に認知され、リスボンの街中で消費されるようになり、中流階級や上流階級の食卓にも上るようになりました

この頃から、リスボンの高級住宅地、バイロ・アルト地区、プリンシペ・レアル地区、エストレーラ地区などに住む貴族や医師、外国人、富裕層などがバカリャウを消費し始め、18 世紀から19 世紀の間には、王室御用達のバカリャウのサプライヤーが居たというほど珍重されました。

エスタド・ノヴォに影響を受けるバカリャウ文化

エスタド・ノヴォ(新しい国家の意)とは、ポルトガルが経験した長期独裁政権(1933-1974)の時代を指す言葉で、この頃に国の価値観も変化し、それに伴いタラの扱いについても大きな影響を受けることになります。

1937年にはポルトガルの歴史において唯一のタラ漁師によるストライキが行われました。時のサラザール政権は、これに対し漁師を支援、保護、そしてタラ漁を奨励するなどの措置を講じました

ポルトガルにおけるタラ漁のピークは1950年から1960年代で、タラの水揚げ量は1934年に比べて約60%も増加しました。

労働環境は決して良いものとはいえず、タラ漁は危険と隣り合わせの漁です。海上に発生する霧と、行く手を阻む氷山が、タラ漁を危険なものにする主な障壁で、それに加え強風と海のうねりによって、転覆の恐れもあります。

その劣悪な環境下でも漁を可能にしたのは、釣り糸を使った釣りのテクニックや、職人的な甲板での作業、船上での塩漬けの技術のなどの漁師が受け継いできた技でした。

ポルトガルはバカリャウで世界一に

ポルトガルは水揚げするタラに強い自信を持っています。ニューファンドランド、ノルウェー近海、スヴァールバル諸島において国内で13隻の船でタラ漁を展開し、自国でタラ漁を完結させ、品質維持に努めています。

それらのタラは塩漬けにされ、冷凍されたものがブラジル、フランス、アンゴラ、イタリアなどに輸出されています

1958年には、世界一の塩漬けタラの生産国としての地位を確立し、国際市場においても広く認知されるようになりました。しかし1960年代以降は、海運に関する法律の改正と、この過酷な職業に就きたいという人材が減少したため、漁の維持が難しくなってきているという現状があります

高い栄養価のバカリャウ

タラは消化されやすく、高タンパクで、ヨウ素、リン、ナトリウム、カリウム、鉄、カルシウムなどのミネラルとビタミンB群が豊富に含まれています。

脂肪の少ない魚で、人間の体内で生成されない多価不飽和脂肪酸を採ることができ、そのなかでもオメガ3が際立っていて、心血管系の保護や、癌を予防にも繋がり、免疫系の発達にも重要な成分が多く含まれています

タラの塩漬けの過程で、水の中で塩抜きすることによって、余計な塩分は取り除かれます。そして調理に塩を使わずにオリーブオイルを使用し、芳香にハーブを添えるだけで料理として完成する、シンプルで健康的な食材なのです。

ポルトガルのアイデンティティに

バカリャウは、安価で、保存が容易なため、ポルトガル人の食生活において非常に重要な食材となっています。 そして、さまざまなアレンジを加えることができるシンプルな味から、日常的な料理の材料として愛され続けています

ポルトガルにはヨーロッパでも有数の長く続く海岸線があります。沿岸で獲れる魚介の種類もとても豊富で、魚の年間消費量は、国民 1 人あたり55キロから57キロと近年の日本よりも魚を食べる国と言えます

そんな魚と共に暮らすポルトガル人が、遥か遠くのタラを獲りに行くことで、ポルトガル人のアイデンティティともいえる食文化が生まれたのです。

イワシ、サバなども日常的にに食べられますが、保存が容易で、栄養価が高く、用途が広いタラの消費量は多く、今日も数多くの家庭でバカリャウが食卓に上がっていることでしょう。

バカリャウに合わせたいワイン

調理する前に塩抜きがされるバカリャウですが、塩味は残り、独特の発酵の香りも残るのがバカリャウ料理の特徴です。身は弾力性が強いため、噛めば噛むほどその味わいが口の中に広がります。そんなバカリャウ料理と合わせたいワインをご紹介します。

ポルトガルワイン【赤】ならこれ!

口の中に広がるブドウ本来の渋みや酸味に、どこか懐かしさや温かみを感じられるのがポルトガルの赤ワインの特徴です。バカリャウ料理と合わせたくなる赤ワインはこちら。

ドナ・エルメリンダ

ジャパンワインチャレンジ2019銀賞を受賞したワインです。色調は濃く深い赤色で、マデイラの香りや高級な完熟した赤肉系果実の香りが漂う質のまろやかなタンニンが感じられます。心地よい味のハーモニーが長く口に残る赤ワインです。

原産地:ポルトガル/セトゥーバル地方

品種:カステラォン、カベルネ・ソーヴィニョン、トウリガ・ナショナル

味わい:ミディアムボディ

詳しくはこちらから【ドナ・エルメリンダ】

ポルトガルワイン【白】ならこちら

ポルトガルの白ワイン用ブドウ品種はほぼ土着品種で、その種類も多岐にわたります。口に広がるバカリャウの塩味とのマリアージュを楽しめるワインはこちらです。

ドナ・エルメリンダ【白】

アジア最大規模のワインコンテスト「ジャパンワインチャレンジ」にて、2019年金賞を受賞した白ワインです。
色調は緑がかった麦の穂色。濃厚なトロピカルフルーツとはちみつの香りが漂います。酸味と甘み、アルコールと果実感の複雑な味わいで、余韻は長く口の中に残ります。

原産地:ポルトガル/セトゥーバル地方

品種:シャルドネ、アリント、アンタオン・ヴァス、フェルナオン・ピレス

味わい:辛口

詳しくはこちらから【ドナ・エルメリンダ白】

レゲンゴス セレクション

色調は透明感のある麦の穂色。熟したマンゴーやパッションフルーツのアロマの香りと共に、バランスの取れたフレッシュな味わいが楽しめます。

原産地:ポルトガル/アレンテージョ地方

品種:アンタォン・ヴァス60%、ゴウヴェイオ40%

味わい:辛口

詳しくはこちらから【レゲンゴスセレクション】

ヴィーニョヴェルデももちろんおすすめです

爽やかでキレのある酸とフルーティな果実味に溢れ、軽やかな辛口のヴィーニョヴェルデ。アルコール度数が低めで飲みやすく、ワイン初心者でも親しみやすい味わいも魅力です。濃縮されたバカリャウの味を、ごくっと喉ごしで味わいたい方はこちらのワインがおすすめです。

ヴェルデガル・ブランコ

グリーンアップルや柑橘系果実のアロマ漂う、フレッシュでほのかな甘みのあるライトボディなワインです。バーニャカウダなどの野菜料理、白身魚の料理と好相性。ライトで微発泡なので、乾杯の一杯にもおすすめです。特に春から夏のシーズンのお食事に、4~8℃までしっかり冷やしてお飲みください。

原産地:ポルトガル/ヴィーニョヴェルデ地方

品種:アリント、アゼル、ロウレイロ、トラジャドゥラ

味わい:中辛口

詳しくはこちらから【ヴェルデガル・ブランコ】

もっと詳しくポルトガルワインについて知りたい方は、こちらもご覧になってください。

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